ニッポン維新(15) 法律は誰が作っているのか
ニッポン維新(14) 政治とカネの本当の話(3)
ニッポン維新(13) 政治とカネの本当の話(2)
ニッポン維新(12) 政治とカネの本当の話(1)
ニッポン維新(11) 政治リーダーの作り方
ニッポン維新(10) 福田総理辞任の真相(2)
ニッポン維新(9) 福田総理辞任の真相(1)
ニッポン維新(8) 闇将軍から学ぶ権力のツボ
ニッポン維新(7) 日本には野党がない
ニッポン維新(6) 田中角栄の話の聞き役
ニッポン維新(5) ロッキード事件の嘘
ニッポン維新(4) 情報はすべて疑え
この時期に選挙をやれば自民党大敗は必至です。中曽根総理は最後まで抵抗しますが、最大派閥の力にはかないませんでした。12月に「ロッキード選挙」が実施される事になりました。選挙の結果、予想通り自民党は過半数を割り込む大敗で、政権運営のためには新自由クラブと連立を組まざるを得なくなりました。一方で田中角栄氏は2位の候補の4倍という圧倒的大差で当選を果たします。 有罪判決を受けた刑事被告人が選挙で大勝利をおさめたのです。逮捕以来「田中型金権政治」は連日メディアで叩かれました。それにも拘らず田中角栄氏がこれほどの支持を集めた現実をどう考えたら良いのか。有罪判決やメディアの批判を覆した有権者が愚かなのか、それとも覆された司法やメディアがおかしいのか。選挙の結果を前に私は考えこまざるを得ませんでした。 選挙大勝を受けて田中角栄氏は復権に向けて動き出します。その頃田中角栄氏の秘書の早坂茂三氏から「おやじの話の聞き役になってくれ」と言われました。角栄氏は自宅に篭って誰とも会わないため退屈していると言うのです。早坂氏が数ある記者の中でなぜ私を指名したのか分かりません。ただ早坂氏とは政治部記者になる直前に大喧嘩をした事があります。それが気に入られるきっかけだったのかもしれません。 親しい記者二人を誘って月に一度目白の田中邸に通うようになりました。勿論誰にも内緒の極秘行動です。近くで見る田中角栄氏はテレビなどで見てきた印象よりいかめしさがなく、柔らかさを感じさせました。よく「天性の人たらし」と言われましたが、決して人を見下すようなところがなく憎めない感じの人物でした。それから角栄氏が病に倒れるまでの1年間、昼食を共にしながら、思い出話から政局話など独演会を聞き続けることになります。 角栄氏の話は興味尽きないものばかりでした。それこそ毎回が目からウロコでした。おかげで普通の政治記者が知らない政治の裏側を知る事が出来ました。そしてこの国の構造が表で語られていることとは違うことを痛感させられました。 例えばある日、目白の田中邸で国労(国鉄労働組合)の委員長とばったり出くわしました。当時の国労と言えば最左派の労働組合です。社会党左派に近いと思われる人物が自民党の実力者の私邸に来ている事に驚きました。委員長が帰った後、角栄氏に「何の用で来たのか」を聞きました。すると角栄氏は事も無げに「賃上げもストライキ処分の撤回も、みんな俺がやってあげている」と言いました。政治家の言葉ですからまるで鵜呑みにする事は出来ませんが、労働組合が社会党よりも自民党を頼っているのは事実のようです。そして角栄氏はこう言いました。「日本の政治で一番問題なのは野党がないことだ。社会党は野党ではない。あれは労働組合だ」。(続く) ページトップへ